愛は惜しみなく与う⑤

緊張するのかしら
そう笑った

…優しいな

こんな風に人の気持ちに寄り添える人なんや

知らんかったな


鈴に向けた優しさじゃなく、あたしに向いた優しさを感じたくなった


母上も用意をしてくると少し部屋を出た。あたしは、ここ数日、一度も触れなかった携帯に手を伸ばした


関西を出ると決めた時に買った携帯

きっと、泉達から山ほど連絡が来てると思う。怒ってると思う。
でもそれさえも、嬉しいと思ってしまう。

あぁ、あたしのこと心配してくれてるんやなって


携帯の電源を入れる


意志が揺らぐから。そう思ったけど…寂しくなった。頑張ろうって思いたいから

これを乗り切れば…またみんなに会えるから



そして電源をつけた携帯には、笑えるほどの着信とLINEが届いていた。


「ふふ。アホや。ありがとう」


それだけで嬉しかった


でも1番心配してた、志木からの連絡はひとつもなかった。

ただ…身に覚えのない電話番号からのショートメールが1件

登録もしてないし、誰かもわからへん。
番号の並びにピンともこん

そのショートメールには