そして時計を見て気づく

杏がバイトを終える時間だった


急いで店へ向かう。こわい。胸騒ぎがする。志木さん…無事でいてくれ


マドリカにつくと、店の掃除をしていたいつもの女の人が立っていた


「あ…君、杏ちゃんの…」

「杏はどこにいますか?」


周りを見渡すが近くにいるように見えない。まだ中で何かしてるのか?


「杏ちゃんなら…さっき飛び出して行ったんだよ。様子がおかしかったから心配してて…」


くそ
どうしてうまくいかないんだ


店の近くを探してみるがみつからない。うろうろして走り回って


ようやく見つけた


よかった



声をかけた

振り返った杏を見て


胸が痛んだ


涙でぐちゃぐちゃの顔



どうした?志木さんのことを聞いたのか?妹が…生きてることを知ってしまったのか?

杏が何で涙を流しているのか分からない


ただその小さな身体を抱きしめる



そして杏は呟いた


「助けて…志木がおらんくなった」


そう泣いた

さっきの事があってすごく自分も動揺してて。
話してあげれることは無いけど、何も知らない杏を、このままにしといていいものなのか…それさえも分からなくなってしまった。