『仲間ね…好きだよね、お姉ちゃんって。仲間とか友達とか絆とか…お姉ちゃんばっかりズルいよね。お姉ちゃんは…いつも誰かに必要とされてる』


「……今どこにいるかわかるか?」


『分かるわけないじゃん。急に志木が病院から連れ出したんだから。じゃあね、志木の意識が無くなったみたいだから、あたしは、あたしのしたいことをするよ』


「待て。お願いだから。その人を…死なせたくないんだ」


『……お姉ちゃんが悲しむから?……志木が悪いんだよ。あたしじゃなくて結局はお姉ちゃんの心配してたんだから。もう…何もいらない』



そう言って電話を切ってしまった。
何度かけ直しても出てはくれない


あわてて警察に事件性があると通報した。場所もわからないし、何も情報はないけど…

どうしたらいい?


とりあえず…



震える手で、白瀬に電話をする。志木さんは、車で20分くらいで妹の病院についていた。
範囲は広いけど


その中で踏切が近くて…
何か事件や目撃情報がなかったかあたってもらう。
これしかできない

この事は…杏に伝えることもできない