愛は惜しみなく与う⑤

杏が最近ずっと何か考え込んでいるように思える。

上の空の時が多い


だからといって、どうしたとも聞けない。
わかってるから。志木さんが言った、妹の誕生日は近い


それまで後少しだから


俺たちもピリピリしているような、でも何もできなくてもどかしい日々が続いた



俺は志木さんと連絡を取っていた



妹を病院から連れ去る計画を企てている志木さん。東堂に帰って名簿を見たが、特に気になる人もいなかったと言う。

そしてすぐに此方へ戻ってきた



『杏様には会えません。私、杏様に嘘をつくのが苦手ですので。直接会えばバレてしまいます。それに声を聞かれれば、何か動揺してたり、隠していることに、杏様は気づきます。

なので杏様とは、LINEでやり取りだけしています』


杏はよく言っていた
志木さんから、毎日電話が来ると。電話が来ない日は、長文の日記のようなLINEがくると。

そんな日課であった電話を、全くしていないと言う