愛は惜しみなく与う⑤

あたしのために、何かしてた
分かってたけど、教えてくれへんからどうもできひんかった。


でも



「志木が…志木まで居なくなったら、あたし…あたし…もう、どうしたらええの」



会うなり泣きついたから、泉はパニックになると思った。
でも違った



「大丈夫だから。大丈夫」


泉はそう繰り返し言い、あたしを強く抱きしめた


今思えば

泉は志木が何をしてたか知ってたんやな


だから大丈夫って励ましてくれたんやな



泉が…志木の代わりに、側にいてくれたんやな




あたしもう、これが最後かもしれへん

もう少し余裕がある思ったけど、もう帰らなあかん。みんなには言えない


別れの挨拶みたいなのをすると



きっとみんな、悲しがるから。何もできなかったって自分を責めるから。



大丈夫だよ。泣きそうな声で泉は言う


ありがとう


ありがとうみんな




このあたたかい温もりを、最後まで感じていたい。


泉の背中に腕を回して力を入れた




がんばるから

あたし、1人でもがんばるから




「ありがとう」


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