愛は惜しみなく与う⑤

「冬にな?俺が作ったメニューを追加してもらえるようになったんだ!まぁ、ちゃんと美味しいのを考えれたらの話だけど」

「すご!ええやん!」

「今頑張って試行錯誤中」


そうかそうか。響はすごく楽しそうにバイトしてる。みてて嬉しい


「俺はさ、杏に1番初めに食べて欲しいんだ」

「安達さんよりも?」

あたしが笑うと、当たり前!と笑った


冬か


「約束だからな」


そう言う響は、少し表情が変わり、ニコニコ笑顔ではなく、真剣な顔


右手の小指をあたしの前に出してくる


約束
できるんかな

正直、毎日不安に押しつぶされそうや


冬か
無事乗り越えてたら、冬なんて、なんぼでも来るし、響が作る料理ならなんぼでも食べる



「杏…」


ごめん。そんな顔させたらあかんよな


「冬って何が美味しいやろかって考えてた!!蟹かな?なんやろ!約束」


自信をなくした小指に、無理矢理自分の小指を絡める

ごめん響

不安にさせてごめん



「とびきり美味しいの、楽しみにしてるな」



今は笑顔でこれを言うことが精一杯やけど…そんなあたしを許して欲しい