愛は惜しみなく与う⑤

「あたし、合間見つけてちゃんと買いに行ったのに!!志木のやつ、仕事押し付けてると思いよる!!なんなんあいつ!あたしの執事解雇や!クビやクビ!!」


ふん!

プンスカプンスカと
本当に音でも聞こえてくるんじゃないかってくらい、怒ってる…というか、拗ねてる

クビだと言い、杏は俺の腹あたりに飛び込んできた。

うん、可愛いけどさ


なんせ痛いわ



「あ、杏様」

「うっさい、黙れ!」


杏様…悲しそうな志木さんは、見てられない


「そんな拗ねるな。何渡そうとしたんだ?」


無理矢理杏を引き剥がして、俺の腹と杏に押しつぶされた紙袋を救出する

紙袋はくしゃくしゃになってしまっているが、中に入っている箱は、しっかりしている

えっと…



「あたしが1番最初やろ?約束したから…ちゃんと覚えてたのに…」


しょんぼりとシワシワの紙袋を持って、再び志木さんに渡す

そして志木さんは、何かハッと気づいた後に、床に片膝をついてしゃがんだ




「杏様、ありがとうございます。気づくのが遅れて申し訳ございません」