愛は惜しみなく与う⑤

その日は眠りにつき、全員が朝早く起きた。
たいして寝れなかったんだろうな。
色々考えてしまって、俺も眠ることなんて出来なかった。


「え?なんでみんな朝早くに起きてきたん?なになに??雪でも降るんか」


新と慧はいつも早く起きるが、俺や朔や響が早く起きてきたことに驚いたのか、引くわ!!と大きな声で朝から笑う杏

幸せな光景なはずなのに


頭が、その幸せを純粋に感じ取ることを、邪魔する


「杏様?夜の間にお料理の作り置きをしておいたので、忙しい時に使ってください。もう少しで学校も始まるので」


志木さんは俺たちに寝ろと言った後に、キッチンでせっせか料理をしていた。
すごいよな、この人は

普通に振る舞うのが上手い

あんな話をした後に、俺なら料理なんてやってられない。


「助かるわ〜暑いからやる気でんからな〜って、志木帰るん?」


キッチンに置いてある志木さんの荷物。来た時よりも荷物が減っているのは、志木さんは使った服を捨てるから。

どんどん荷物が減る

どんな服の使い回しだよって思った


「雄作さんから、いつまで休む気だと連絡が来たので」