愛は惜しみなく与う⑤

妹の部屋に入る事があるのか?
妹と、話せるなら願ったり叶ったりだけど…志木さんはそういう為に渡してるんじゃない気がする

そして志木さんは思っていること、何故か嫌な予感がすること


それを話してくれた



「……勘です。ただ何か、杏様がピンチの時、私が側に居られない気がするのです。胸騒ぎがここ最近ずっとするんです。

何か起こるなら私は、鈴の誕生日と言いましたよね。きっと何か起こります。分かるんです。けど私は……

その時に杏様を守る事ができない」



悔しそうに拳をギュと握りしめる志木さんに、なんて声をかけていいかわからなかった。

何か起こるその時に、杏の側に居れないという志木さん


俺はこの時、志木さんの覚悟に気づけていなかった。何か嫌な予感がするって言うのは俺も分かる。
だから、そう同じように漠然と思ってるのかと…

けど志木さんは、これから起こる最悪のパターンが頭の中にあったのかもしれない




「私の代わりに…杏様を守ってください」



俺に…
そして、みんなに頭を下げた志木さん


異様な空気の中、手の中の鍵の冷たさを噛み締めるかのように握った


この鍵を使う時


全ての悲しい真実を目の当たりにする時