愛は惜しみなく与う⑤

なのに

これで終わらないんだ



「今聞くだけじゃ、妹はただの被害者だけど。妹が生きてるってなると、話は大きく変わってくるよな」


朔は気分が悪い。そう言ってキッチンへ向かい水を一気に飲み干した

俺も気分は良くないよ

じゃあ、杏は何のために自分の望まない道を行くのか。
生きてるなら…

杏はこんな思いしなくて済んだんだろ?


俺は杏が好きで、妹のことなんて知らないし、杏のことしか考えれないけど、どう考えたって…


妹が生きてるってのは、大きな裏切りだろ?


生きてて欲しいって、杏は思うだろうけどさ。生きてるのに…杏に黙って、騙すような行為。知らないなんておかしいから。

確実に、何か仕組まれてる



「話すことが多くて、本当に何から話せばいいのか分からなくなりますね」


志木さんは少し落ち着いたのか、ため息をついて再び話し出した



「精神を病んでるって言いましたね。会ってきたんです。鈴に。でも…まともに話せる状況ではありませんでした」