愛は惜しみなく与う⑤


「えらく重い空気ですね」


志木さんが帰ってきた。もう全て話したんですね。そう言って

何か用事を済ませてから来ると言った志木さんは、顔に傷を作ってきた


「どうしたんですか?」


この人が傷を負うなんて。


「舐めてかかったら、少し誤算でした」


そう言いながら口元が切れて、痛々しい傷を作った場所を触った

何かで殴られたような跡


「こんな顔じゃ杏様に会えませんので、皆様と少し話したら、私はビジネスホテルへ戻ります」


よいしょと近くに座ったが、どうも傷を作った志木さんの顔が見慣れなくて、その顔に視線を持っていく事に抵抗がある

俺がみんなに話すと伝えたら、志木さんは、決断を下した貴方達に大事な話があるので、後から私も行きます

そう言っていた
志木さんには、ここにいる俺たち5人共…
覚悟を決めると分かっていたのかもしれない。


大事な話




「私はここ数日、鈴に会いに行ってました」




…え?

鈴?妹の居場所がわかったのか?



「順を追って話します。少しお時間くださいね」