愛は惜しみなく与う⑤

ずっと思っていた
杏は、それが普通だと。そうなるのが自然だと言うように話していたけど

不自然だった

ただ俺たちはこの日々が楽しくて。そんな事を考えなくなっていた。


妹が死んでしまったから、東堂の後継者になったと。
杏は今年で19だ
妹は17になるって。

本当なら妹が高校を卒業したら、結婚して、そのまま東堂を継ぐはずだったと。


ていうことは…

今の杏は、高校を卒業した年齢だ。


高校を卒業したら東堂を継ぐというのなら、今年から継いでるはずなんだ。


なのに、杏はわざわざ高校生をしている。


そして後2年と言った



違和感がずっとあったんだ



「……俺たちはきっと、杏ちゃんのことを知らなさ過ぎる」


その言葉は正しかった。
それでもいいから、側に居てあげたかった。

そう思ってたけど


もうその違和感と向き合う時が来たのかもしれない



「俺は、何があっても守りたいと思う。それは今も変わってない。スコーピオンが近づくにつれて…もう時間がないと思ってる」


すぐそこまで来ているんだ

いつでも手を出せる状態

俺達にも、いつでも仕掛けれる状態だ