愛は惜しみなく与う⑤

「あたしは…恋愛って苦手っていうか、あんまり経験がなくて分からへんのやけど。

知らん間に好きになってるもんやないの?あれこれ理由あるかもしれんけど、理由って後からついてくるもんで。

ほんまに好きになんのって、自分も気付かんうちに好きになってて……でもその気持ちに気づいてなくて。
何かきっかけがあって、好きって気づくと思うねん。そのきっかけが何かは分からへんけど、好きになるのってそう言う感じじゃないんかな。」


知らんけど

そう関西人特有の、知らんけど、を語尾につけて杏ちゃんは笑った

知らない間に…
もう好きになっていて…何かのきっかけで?



「誰かを好きになるのに、理由を探すのはおかしいと思う。好きになった理由は、きっと後から思い浮かぶと思うねん。あそこが好きやなーとか、あんなところカッコええよなとかさ?
知らんけどな?

まぁだからなんてゆーかさ?」


力を緩めて杏ちゃんは俺と目を合わせた



「もっと素直になり!今ある場所はきっと、慧が自分を偽らんで、ありのままで居ても受け入れてくれる所やから。
あたしで良ければこのままの勢いで恋愛相談乗るけど?」


役に立たなさそーやけど
ケラケラと笑って見せた


温かく包まれる感じ
女の子なのにこんなに包容力があるなんて凄いよね