愛は惜しみなく与う⑤

「慧は…女の子達と一緒におっても、なんか違うなって思ったんやな。だからずっと寂しかったんやろな」


よーしよし
そう言いながら杏ちゃんは語った


「泉達に出会って、居場所ってこんな感じなんやなって思ったやろ。あったかいよな。

そう思えたんは、慧が素直にみんなの優しさを受け止めてるからやで？

慧は優しいから。ほんまに最低なやつは、最低やって思わへんから。罪悪感とか慧自身が自分に嘘ついてしまってるから…女の子と一緒におるときしんどいんやで。」


「で、でも。俺は泉達に出会って、最高の居場所を貰ったのに…辞められなかった。何かが寂しかったんだ」


そう
辞めればいいのにさ
辞められなかった
大切な居場所が見つかったのに…
ぽっかりと穴が開いたまま

そうしてその穴を埋めようとしては、何度も人を傷つけた
なのに、それに関して、罪悪感とか、何も思わない自分がいて、自分が嫌いになっていった

傷つけてもなにも感じない


そのくせ、寂しさを埋めるために女の子を利用する

最低だよ
俺は優しくなんかない


「なんで寂しいか分かんない」