女の子の杏ちゃんに最低な話をしているのは分かってる。
だけど、杏ちゃんは黙って聞いてくれている。
「モテたから。好きだよって言っておけば、常にそばに誰かいてくれたんだ。家も困らないし、食事も困らないし。本当に女の子をそういう風に道具として見ていた。
泉達に会うまでは…俺は偽りの居場所で過ごしてた。嘘で塗り固めて作った居場所」
好きだと言われれば、好きだと答える。
そこに感情なんてない。
どんな顔で聞いてるんだろう。
杏ちゃんはすごく真っ直ぐな子で、どんな気持ちでも汲み取ろうとしてくれる
「……慧は、寂しかったんやな」
俺が話し始めて、1番最初に杏ちゃんが言ったのは、その言葉だった
泉と同じ
「おいで」
目の前の杏ちゃんはただ笑って手を差し伸べてきた。
女神かよって思うよね
杏ちゃんに何か聞いてもらうときは、子供になった気持ちだ
恐る恐る手を伸ばすと、男前にグイッと腕を引かれて、華奢な身体で名一杯抱きしめてくれた



