愛は惜しみなく与う⑤


女の子の杏ちゃんに最低な話をしているのは分かってる。
だけど、杏ちゃんは黙って聞いてくれている。


「モテたから。好きだよって言っておけば、常にそばに誰かいてくれたんだ。家も困らないし、食事も困らないし。本当に女の子をそういう風に道具として見ていた。

泉達に会うまでは…俺は偽りの居場所で過ごしてた。嘘で塗り固めて作った居場所」


好きだと言われれば、好きだと答える。
そこに感情なんてない。

どんな顔で聞いてるんだろう。
杏ちゃんはすごく真っ直ぐな子で、どんな気持ちでも汲み取ろうとしてくれる




「……慧は、寂しかったんやな」



俺が話し始めて、1番最初に杏ちゃんが言ったのは、その言葉だった


泉と同じ


「おいで」


目の前の杏ちゃんはただ笑って手を差し伸べてきた。


女神かよって思うよね


杏ちゃんに何か聞いてもらうときは、子供になった気持ちだ

恐る恐る手を伸ばすと、男前にグイッと腕を引かれて、華奢な身体で名一杯抱きしめてくれた