「あたしら皆んな、慧のこと大好きやで?それじゃあかんの?何でそんなに寂しそうな顔するん?」
切なくなる顔せんといてよ。
見ていたらこっちも泣きそうになってしまうような顔
あたしの手にそっと手を合わせる
「うん。ありがとう。俺も、皆んなのことは大好きだよ。だけどさ、そうじゃなくて…」
歩くのをやめ、立ち止った慧は下を向いてしまった。
何かおかしいなって思って慧について来たけど、あたしが思ってる以上に、何か思い詰めることがあったみたい
「誰かを好きになりたい」
泣きそうな声でそう漏らした慧は、固まるあたしをキツく抱きしめた
あたしはただ動かずにじっとしてることしか出来なかった
誰かを好きなりたい。
たまにあたしの周りにいた女の子でも、好きな人欲しい〜と呟く人達がいた。
それはキュンキュンしたいだとか、片想い時期が楽しいとか…
そんな理由やってゆうてた
けど慧の、誰かを好きになりたいと言う言葉は、それとは全く別のもの
まるで、愛を知らない子供のような
そんな言葉やった
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