愛は惜しみなく与う⑤

「この前、朔の課題のプリント取りに行った時さ、教室行ったら、泉のロッカー漁ってた」

「まじで!?アハハ見たかった!え?泉の反応は?テンパってたでしょ」

「げっ!!って聞いたことない声出してたわ」

「だろうね〜泉もあの子だけは、無視できないみたいでね」

「あそこまでグイグイこられると、あしらう事もできひんよな。泉のこと大好きってオーラが凄かった」


目がハートやったもんな
泉に怒られても、喜んでたから、あれはもう、どうも出来ひんよな。
無視しても喜んでたし


「羨ましいよね」

「え?慧もストーカーされたいん?」


羨ましいか?他人事やし笑えるんちゃうんかな?そう思ったけど、それが羨ましいって事じゃなかった



「ちがうよ!それだけ人に愛されるって、すごく羨ましい」


そう語る慧は、消えてしまいそうやった


「慧も、愛されてるやろ?」

「俺はちがうよ。俺のこと好きって言う子は、本当に俺のことが好きなわけじゃない。お互い割り切ってる。だから、杏ちゃんに悪口とか文句言わないんだよ」


笑ってるくせに、悲しそうな顔をする慧

なんでそうなるんかな。
なんでそんなに自信ないんやろな



「あたしらがいるやん」


隣を歩く慧の腕を掴む