そんなん出来るわけ無いのに

あたしはもう、逃げ出せへんところまで来てるのに。


恐る恐る泉はあたしの目元にてをやり、涙を拭った

困らせてる
女が泣くのは卑怯やな。泣いたらあかん
わかってたのに。



「約束しよ」

「ん?」



「来年も、一緒にお祭り行こう。旅行も行こう。いっぱい遊ぼう」


……そんなん、出来るか分からへん
嘘ついて約束できるほど、強く無い

けど、約束できひんかもしれへんけど


「うん、遊ぶ。約束」


差し出された小指に自分の指を絡めた

この時のあたしは、この先のことを考えたくなくて、現実逃避していただけ。


でも泉は


本気で思ってた




「杏を東堂なんかに、渡さないから」


それがどういう意味なのか。
泉は何を思って真っ直ぐあたしをみていたのか。不安な気持ちを抱えたまま、希望にすがる日々


宙ぶらりんの状況で諦めきれへん自分の、しつこさに嫌気がさす

ただキュと小指に力を入れた泉は、大丈夫だよ。そうずっと言ってくれた


こんなややこしい女でごめん

情けないほどに、弱くてごめん


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