愛は惜しみなく与う⑤




「はーはっは!!隙だらけやな!間合い詰めたんなら、警戒せぇ!」


さっきまで寝ていたであろう杏の元気な声。
両足をバタバタさせて笑ってる。
おっとっと

バランス崩すだろ?

杏の行動は相手を煽るのに充分だったようで、怒り狂った顔になったけど

3人じゃな…


「あたしら2人に、3人で話しかけてきたことだけ褒めたるわ」


いけ!泉!
起きたのに俺の背中から降りるつもりはないのか、脚を伸ばして、左手は首に。右手はいけーー!と黒蛇のことを指差す

うん

操縦されてるの?俺

元気なのはいいけど

相手の顔をみてくれ

全然緊張感のない杏と、ピリピリする黒蛇


こりゃ、今度の抗争の時大変だぞ?
杏にも結構人がついてしまうかもしれない。


よいしょ


杏をその場に下ろす


「あれれ?終わり?」

「後でな」

わざわざ杏を戦わせる事もない。むしろあんまり戦力にならないと思わせておかないと。
今度の抗争、狙われるから


煽りスキル高いのはバレたけど…


「岩見に言っておけ。抗争の日まで待ってろって。その時、本気で相手してやっから」