愛は惜しみなく与う⑤

何も知らないけど
この短い間一緒に過ごした杏を、知ってるから


「んーー」


難しいことを考えていると杏が唸った
ふふ
何考えたんだか


そう思った時、嫌な気配を感じる


タイミング悪いな


前からニヤニヤ笑う男3人がこちらに向かって歩いてくる。
黒蛇だな、多分


「烈火の総長さん、こんな所で何してんだ?背中の女は、あの女か?」


どうするかな
杏を下ろすか?いや、結構ガッツリ首をホールドされてる。
杏が自力でしがみ付いてくれたらいいけど、そうもいかない


「おい、無視すんなよ!」


ズイっと顔を近づけてくる黒蛇の男


片手が空けばいけるか
そんなことを思ってたら

視界の横から


ピョコっと足が伸びた


そして目の前にいた男の顔を蹴り上げる



ピョコ、はちょっと嘘になるか。
シュッと風邪を切る速さで足がでてきた。

男は軽く跳び尻餅をつく

そして高らかな笑い声が聞こえた