愛は惜しみなく与う⑤

杏はこう言う時、完璧に力が抜けるわけではない。

おんぶしようと背負うと、割と自ら背中にしがみつくから、楽チンだ


家まで距離があるな

このまま連れて帰ってもいいけど、おんぶってされてる側もしんどくないのか?

むにゃむにゃいい眠る杏


その時電話がなる
出てみれば新で、遅いから心配したとのこと。そうか、結構時間経ったか

あの女がいたからな…
少し予定がくるった

まぁ大丈夫だと電話を切り、人のいない道を歩く


人をおんぶしながら歩くのは、目立つからな


杏は…きっと向こうで何かあった

言わないけど、テレビ電話の時に思った。一瞬表情がかげった。
駅に迎えに行った時もおかしかった。

志木さんから聞いた、妹は確実に生きていると言う話


まだ、みんなにはできていない


口にすると

心が痛い

杏は今なんのために頑張っているのか
分からなくなってしまう


ただ俺にとっては、ありがたい話だ。


妹が生きてるなら

杏は後継者にならなくていいんだろ?
こんな単純な発想じゃダメなのかもしれないけど、俺にとってはそれが望みだから