愛は惜しみなく与う⑤


「だから…帰ってるって。あぁ。杏は寝た」

『あなた毎回杏に睡眠薬でも飲ませてるんですか?』

「そんな訳ないだろ。教室にいたら神田が来たから煩くて帰ってる」

『朔のプリント取りに行ってたんですよね?助かります』

「あ、そうそう。忘れてた。プリントは杏が持ってるはず」

『学校から歩いてるって時間かかりませんか?迎えに行きましょうか?』

「寝てるのにどうやってバイク乗るんだよ」

『起こせばいいでしょ』

「連れて帰れるから大丈夫だ」

『今は黒蛇のこともありますし…』

「抱えたまま勝てる」


電話の向こうで新のため息が聞こえた。

杏が眠ってぼーっと待ってたら、教室に神田がきた。さっきまで電気がついてとかなんとかで。

遅いだろ、それなら

寝てる杏の周りで大きい声で話すもんだから、帰る事にした


「ちょ、峰岸ちゃんどうするの?」

「どうもしねーよ」


杏の腕と腰を持って軽く起き上がらせて背中に背負う

軽い


「手伝おうか?」

「お前はさわんな」


ちぇっと言う神田を置いて、杏をおんぶしたまま学校を出る