愛は惜しみなく与う⑤

「杏を守るから。絶対悲しませないから」

「どうしたん?プロポーズみたい」

クスッと笑ってしまった。
あたしの頭に乗ったままの泉の手は温かい


「全部終わったら、ちゃんと伝えるから」


ん?
パチリと目を開ければ、優しく笑う泉の顔が、月明かりに照らされていた

全部終わったら?

その言葉に違和感を覚えつつも、再び目を閉じた


全部終わる時

泉はあたしのこと嫌いになったりせんかな


それだけは、悲しいな



「もう、頑張らなくていいから」



最後にそう聞こえた

あたしアホやからさ、どこでも寝ちゃうねん。特に泉と一緒にいると落ち着くのか、よう寝てしまう

病気やと思われへんかな

こんなすぐ寝てたら

でも寝心地がいいと言うかさ?何というか。
気が緩む


「寝ると思った」


そう笑った泉の声はあたしには届いてない


髪を撫でる感覚だけ、感じていた



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