愛は惜しみなく与う⑤

「なんか無くなってる?」

「いや…鍵つけてもらお」

うん、それがいいよ


周りは暗くて教室の電気がついてるから、虫がいっぱい寄ってくる


「なぁ、電気消してええ?」

「あぁ」


電気を消すと、教室は月明かりでほんのりと明るくなった。
あの子が電気つけたまま教室にいてくれてよかった。

これで電気消えた中で、あの子を見たら、恐怖で失神してたかもしれへん


「泉、あの子のこといつから知ってるん?」

「…5年前くらい」

「えらい長いこと…」

「トラウマだ。他の女みたいに、猫を被ったり媚を売ったりしてこないけど、違う意味でトラウマ」


そらそうよな
一回見ただけであたしもトラウマになりかけてるから、泉の恐怖は計り知れないだろう。
ちょっとおもろいけどな


「トイレで何された?」

「身体触らしてくれって…迫られた」

「はぁ……どこのエロオヤジだよ」


間違いない。目の前にいるのは女の子やったけど、おっさんに話しかけられてる気分やったわ


「大変なんに好かれてるな」