愛は惜しみなく与う⑤

「大恋愛って、仲間なだけやし…そっとしておいて」

「そうですか、そうですか!まだ気付いてないんですね。うぶですね」

「う、うぶ?」

「初々しいってことです、きゃ」


尚子感激!!!そう大きな声で言って、あたしより先に扉を開けてトイレから出た


おいおい、謎すぎるやろ



「杏?うわ!お前かよ」


泉は飛びついてくる尚子ちゃんを、必死に避けている


すごくメンタルが強い


「今すぐ、帰れ」


いつも通りの威圧感たっぷり言い方

それを聞いて


「いやーん!その冷たい言葉が私に向いたの久しぶり!」


言う通りにしますわぁ〜!そう言って走り去っていった


真っ暗の廊下に取り残されたあたし達は

多分8秒くらい静止してたと思う。


そして先に口を開いたのは泉



「なんか、わりぃ」


「いや、ええよ」


ええんやで、泉は悪くないしな。ただあの熱烈さに、どっと疲れただけや

2人で無言で本来の目的であった、朔のロッカーを開ける

隣の泉は自分のロッカーをチラチラ見ている