愛は惜しみなく与う⑤

志木にしがみ付いてたっけな

もはや、志木を盾にしながら歩いてたっけか。
懐かしいな


あの頃に比べると、怖いものが少なくなったな

今怖いのは

大事な人を失うこと


「朔が暗いの苦手なんだ」

「え?そうなん?」

「お化けが出てくるって騒ぐから煩い」


あーーお化けお化けゆうてそうやな。肝試しとかそーゆうの好きなくせに、実際やるとビビるやつやな


「泉は?怖いもんある?」

「怖いもの…あんまり考えたことないな」


まだ半年しか通っていないから、ただでさえ校舎の構造を覚えてないのに、暗いから尚更分からない。
だから泉の後ろをついていく


「朔怖いからついて来なかったんだぞ」


クスクス笑う泉の言葉を聞いて納得。
基本こう言うの、俺もいく!って騒ぎそうやのに、今回は何も言わなかった。


怖かったんか!夜の学校やもんな


ようやく教室がある階に着いた時、一つの部屋が電気がついていた


「え、誰かおるんかな」

「こんな時間にいるの、先生くらいかな」


あたしたちの教室が電気ついてる。
神田かな?と泉は少し早歩きで教室に向かい


中を見て驚いた