愛は惜しみなく与う⑤

「去年の夏に、泉の体操服がなくなる事件があったんですよ」

「体操服?い、いじめ?」

「な訳ないでしょう。その子が放課後、教室に来て泉の体操服を盗んだんですよ」

「え?なんで?体操服…いる?」


理解ができひん。体操服ほしいか?それに夏やで?爽やかな泉でも汗もかくわ

それに、盗んでたのを見たんかな


「それでさっきの事件です」

「ん?喧嘩に乱入してきたってゆう?」

「ええ。その子が黒蛇とやり合ってる時に乱入してきたんですが、その子、泉の体操服を着て乱入してきたんですよ」




「は?謎」


なんで?意味わからん。


「俺らも意味わかんねーよ。でも無くなった体操服をそいつが着てて、泉様ぁぁあって叫びながら走ってきたんだ」

朔は、その時の泉の顔を思い出したら、今も腹が捩れるくらい笑えると言った


話を聞きながら泉の眉間のシワは深くなる

えっと…
なんか大変やってんな


「それで、黒蛇の奴らが、蕪木って書いてある体操服を着た女が乱入してくるもんですから、泉の彼女かと勘違いして…」