「なぁ、志木?」

「…はい」



「あたしって記憶喪失なったことある?」


もうこれくらいしか、思いつかへん。
あたしそんな記憶力悪くないもん。

やから…記憶喪失くらいしか考えられへん



「何を…記憶喪失なんて、なったことありませんよ」


…やんな
志木が少し笑った
記憶喪失なってないかーー

なんでこんなに遠いんや。なんで掴めへんにゃろ


「サトルはさ、何がしたいんやろな。あたしが折れればこんなに皆んなを巻き込まずに済むんかな」

「それは違いますよ。杏様が、サトルの思い通りになる必要はありません」

「でもさ?あたしが欲しいってゆうやん。欲しいって何?結婚?監禁したいん?わからんけど…そのためにこんな事してるんやろ?鈴の事…それに薔薇のみんなにも…何でもするやん」


やっぱり、みんなのことが心配
志木を含め、烈火のみんなに、何かあると思うと…あたしはもう立ち直れへん気がする


だからもう

サトルの好きなようにさせたほうがええんなかって。
手に入ったらさ、飽きるやん

飽きたらいらんくならへんかな


もう正解がわからへん