_________3月24日


蒼さんに対する自分の気持ちを自覚し、この家と蒼さんから
離れる決意を伝えてから、あっという間の3か月が過ぎた。

季節は寒い冬から桜の咲く春へと移り変わっていた。



この3か月、諦めなければという気持ちとは裏腹に、私の蒼さん
に対する気持ちは益々大きくなっていくばかりだった。

蒼さんの顔が見たい、でも、見ると嬉しい気持ちと一緒に辛い
想いが胸を締め付ける。

このまま側にいたい、でも、側にいることが辛い・・・。

私は、一体どうしたいんだろう・・・。



私がここを離れる決意を伝えた日から、蒼さんは作業部屋に籠る
時間が増えていた。

時には、目の下にクマまで作っている事もあった。

ただ単に仕事が忙しいだけなのか、それとも、出て行く私との時間
が煩わしく思っているのか・・・。

「スー、ハ~。」

深呼吸をして頭を振る。

イヤなことは考えない、今を楽しまないと・・・。

蒼さんとの暮らしはそれまでとは大して変わりなく過ぎていた。

デートにも似た週二回の買い物とドライブは相変わらず続いて
いたし、私を見る蒼さんの表情は穏やかで、私はつかの間の
幸せをかみしめていた。