何故その場所にむかったのか・・・。

俺は、まるで何かに導かれるようにあの日リングを捨てた海へと
愛車を走らせていた。

海岸線に沿って伸びる道から、穏やかで碧い海が広がっているのが見える。

堤防沿いの道に愛車を停車し、階段を下って砂浜に降りた。

サラサラとした砂浜を、何処へ向かうでもなく歩き始めた。

寄せては返す波の音に、何処かいつもとは違うサザメク感じを受け
心が落ち着かない。

歩きながら、黒いコートのポケットから煙草を一本取り出し、愛用
のZIPPOで火をつけた。

いつもの煙草の匂いが俺を落ち着かせてくれる。

暫くそうしながら歩いていると、大きな流木が目に留まった。

煙草の煙を胸いっぱいに吸い込んで、持っていた携帯灰皿に吸殻を
しまうと、流木に向かって歩を進めた。


一歩、また一歩と流木に近づいていくと、流木の陰から水色の何か
が、フワリと舞った。

“ 何だ? ”

訝し気に思いながらも水色の正体を知ろうと、歩みを進めた。

流木の脇に回り込み、その場所を見た。

“ これは、いったい・・・!? ”

驚きに立ち竦みながらも、目の前の状況を把握するように見つめる。