「碧、今日は仕事が上手くいって、お土産にケーキを買ってきたんだ。
 美味しいって評判の店だから、一緒に食べよう。」

俺がそう声をかけると、まだ申し訳なさそうな顔をしていた碧も
心なしか嬉しそうに皿を出してくれた。

ケーキは苺ののったショートケーキ

碧は嬉しそうにケーキを頬張っていて、さっきまでの沈んだ気持ちも
少し落ち着いたようだった。

ケーキを食べ終わり、コーヒーを一口飲むと俺は、遠い昔を思い出し
ながら口を開いた。

「さっきの話だけど、つまらないかもしれないが俺の昔の話を碧に
 聞いてほしい・・・。」

碧は俺の目をその明るい栗色の瞳で真直ぐと見て、コクンと頷いた


「俺にはかけがえのない大切な友人が二人いた。
 二人共、高校の同級生で一人は成海 俊(ナルミ シュン)
 俊は、明るく活発で誰からも好かれているような太陽のような奴
 もう一人は、俊の彼女で佐藤 梨花(サトウ リカ)
 二人はとても仲が良くて、俺はそんな二人が大好きだった。
 
 俺は元々こんなんで、口数も少なかったし近づき難い雰囲気も
 あったのか、友達はいなくていつも一人でいたところに、俊が
 声を掛けてくれたのがきっかけだった。

 気さくで穏やかな俊に、俺も直ぐに打ち解けていったんだ。」