女と同居すると決まった俺は、病院から出るとその足で近くの
インテリアショップへと足を運んだ。

女の部屋に置く家具をそろえるためだ。

女のイメージに合う物をと見ていると、一角にぴったりのセット
が目に留まり、一式購入した。

そして、カーテンにクッション・・・・。



愛車に乗って、自宅への道を走らせると15分程でグレーの屋根に
グレーと白の外壁のモダンな家が見えてきた。

5年前に建てた北欧風の一軒家。

少し小高い場所に建っているため、窓からの眺めも良い。


玄関に買ってきた物を置くと、二階へ続く階段を上っていく。


階段から直ぐの右手の部屋を女の部屋に考え、ドアを開く。

何も無い、真っ白な部屋。

俺は、腕まくりをすると部屋の窓を開け作業に取り掛かった。




女が退院する前日、やっと部屋が完成した。

真っ白だった部屋の奥には薄い水色の壁紙を貼り、カーテンは
紺とターコイズ色のナチュラルなリネン素材。

ベット、ソーファー、テーブル、ドレッサーは白木の素材。

クッションやベットカバーは柔らかな空色だ。

俺にとって、女のイメージは『海』だった。


出来上がった部屋を見ながら、「気に入ってもらえるかな」
思わず口をついて出た言葉に、思いの外、女のことを気にかけて
いる自分に失笑した。