[廃位の動き]

王都の城邑を警備する兵士。
テリウム王子とティモテ姫はその城下の一室で政務中である。このような政務の場合たいていは、いかなる休養も許されぬもの。

数時間ののちそれが一段落する。
ティモテ姫は席から立ち上がると、お茶を入れた。うんと伸びをする。
アーシュベルク王国の元老院と王室には微妙な齟齬があった。
元老院を主導するティモテ姫であったが、元老院にたいしてテリウム王子は必ずしも協力的とは限らない。

元老院、つまり勅撰議会と王室の間には距離が目立ち始めていたもの。
が、ティモテ姫ら王室の課題は元老院と同時にいかに農園地帯(ガロ)からの支持を集めるかにもあった。テリウム王子も同様に。

したがってテリウム王子とティモテ姫及び元老院の多くの議員は同様の危機意識を抱いていた。それはガロの離反である。