明かりが消えたその部屋の闇は、かろうじて差し込む月の光と煙草の先に点る赤い灯だけでそれ以外は何も見えはしない。




 耳に届くかすかな音すら、煙草の葉が燃えるそれと時折響く、グラスの中の琥珀色の海で氷が溶けるそれだけだった。