「お前は誰だ……」

……と私が云う。



(わたしは誰でもない。只の介錯人)

……とわたしが云う。



「委ねるだけでいい……と云ったな……」

……と私が云う。



(オマエの持つ、明日と云う名の希望など、とうに喰い尽してしまった。オマエにあるのは明日と云う名の絶望だけだ。明日の先にあるのは只の老いだけだ)

……とわたしが云う。



「ほざくな……」

……と私が云う。



(さあ、行きましょう、ご一緒に。わたくしがご案内致します)

……とわたしが云う。



「しらばっくれるなよ……」

……と私が云う。



(さあさあ、ご一緒に。神村を羨ましいと思ったのだろ。オマエにはオマエの闇があるのだろ……さあさあ、わたしに渡してしまえ。オマエにはひたすら、その痛みに気付かないようにするくらいしか残された道はないのだからな……)

……とわたしが云う。



「もうくだらないお遊びは終わりにしよう……」

……と私が云う。







 真里の中で私とわたしが云う。