「ウサギ……茶ぁ入れてこい」


「えっ、なんすかそれ。いや、別にいいですけどね。俺って優しい男ですから」


「無駄口は要らねぇ。茶だけ持ってこい……」


「はいはい。仕方ないなぁーもう。あれっ? てか、真里さんコーヒーじゃなくていいんすか?」


「胃の調子が悪いんだ。さっさと行け……」


「ストレスっすかねぇ? 真里さんもいろいろと大変だから」



 捨て台詞を残すようにウサギはドアを閉めて出て行った。そのタイミングの良さに同僚達はそっと胸を撫で下ろしたのは云うまでもない。


 真里はただひたすらに己の上昇した体温を下げることだけに専念するしかなかった。