「ありがとうございます、神楽崎さん。」


彼にお礼を言うと、どこから出てきたのか椅子を持って来てくれた。紳士だ……!


「陽平たち、もう少しで帰ってくるはずだよ。」


悠介さんは時計を確認して外に出て行って数分……入ってきたのは悠介さんじゃなくて陽平くんだった。


「……お、おかえりなさい。」

「ただいま」

陽平くんは何も反応なくて似合ってないのか不安になっていると、悠介さんがドアを開けて顔だけ覗かせる。



「……行くか、陽愛。遅いと悠介さんが怖いから」


そう言った彼は自然に手を握るからドキドキする。こんな、手を繋いでいるだけなのに緊張するんだろう……?