「陽平、会いたかったわ。来てくれてありがとう」

ニコニコする彼女はそう言うのに陽平くんは何も答えない。

「今までごめんね。
だけど私、神林財閥の社長と再婚したんだ……その社長に息子がいるって言ったら跡取りにしようって言ってくれたの。」

神林財閥……それって、日本の三大財閥の1つだよね…? そんな財閥の、跡取り……って。

それに、神林って聞いたことあるような……?


「素敵なお嬢様がお嫁に来てくれるらしいのよ〜可愛らしくて品がある方なのよ…ほら」

彼女は陽平くんに写真を見せてきた。
確かに可愛い……。

もしかしてこれが目的だったの?
私、陽平くんと引き離されちゃうのかなぁ……っ

「…黙って聞いていれば勝手なことベラベラと言いやがって。」

よう、へいくん……っ?

「わ、私は陽平の幸せのためにっ」

「急に消息不明になって捨てたくせに今度は再婚相手の会社を継げ?

好きでもない奴と結婚しろ?

よくもまぁ、そんなこと言えるよな。」

彼は私を抱き寄せると強い口調で言い放った。

「俺の幸せは、陽愛といることなんだよ。どんだけお金がなかったとしても、裕福じゃなくてもいい。陽愛が隣にいてくれればそれだけで幸せなんだよ。」