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どうやらこの学校にもヤンキーと言われる人はいるらしい。

クラスメイトの噂話を聞いた程度だけど、『コガサク』という同じ学年――つまりは新入生の人が有名みたい。

新入生なのに学校で噂になるってすごいよね。

よしっ。

情報収集を終えた、入学してから一週間後、『コガサク』くんを探して放課後、校内を歩き回っていた。

入手出来た情報では、紅い髪、目つき悪い、背が高い、らしい。

紅い髪は特徴的だよね。

見つけたのは屋上。

紅い髪の男の子が――紅いというより、赤みが勝った感じの黒髪で、もしかしたら地毛なのかもしれない――長い足をゆるりと組んで、壁にもたれて座って本を読んでいた。

「コガサクくんですか……?」

呼びかけると、その人はゆっくり本から顔をあげた。

怒った時の由羽くん以上に鋭い目つきで、総真くん以上にクールに見える。

総真くんがクールなのはパッと見だけだけど。中身はニコニコ大魔王だからね。

「……なに」

声も低くて、同い年にしては迫力を感じた。

私は両のこぶしを握る。

「あの! どうしたらヤンキーになれますか⁉」