でも可愛がられてる気分を味わえたから、それもいいか。
「こんなとこにいたの、穂乃果」
先輩の影から涼子が姿を見せた。
やっとパンが買えたようだ。
マズい、と思ったときにはもう涼子の目は先輩を捉えていた。
三秒見つめて、多分その間に脳内がフル回転して導き出した答え。
「もしかして、早瀬先輩?」
グラウンドからじゃ顔までは見えなかったんだろう。
だけど私と話す先輩なんて早瀬先輩しかいないのだから、その答えに辿り着くのは余りにも簡単だ。
口止めしておくんだった。
先輩からしたら、自分の知らないところで自分の話をされてるなんて嫌な気分になるに決まってる。



