その顔は赤いというよりは白い。
先輩ってハグとかでは赤くならないんだ。
まあさっきのは事故だったけど。
「顔ブローチで擦っちゃったかな。赤くなってる」
本気で心配そうに言う。
…先輩、天然も混じってるんですか。
ブローチで擦ったなら頬っぺた両方赤くなるわけないでしょう!
膝を折って私に背を合わせてくるから、顔が真正面で合う。
先輩は頬ばかり見て平気そうだけど、私は全然冷静じゃいられない。
こんな近くで先輩の顔見たことなかった。
頬を見るだけじゃ飽き足らずに、その手を優しく添えた。
それに私の顔は頬だけじゃなく、燃え上がる勢いで全てが赤に染まる。



