先輩、私だけに赤く染まって


「せんぱーい」


顔を覗き込むように私も壁に近付く。


目だけギロッとこちらを向いて、拗ねたように睨まれた。


やること全て可愛く感じてしまう。


でもこのまま拗ねられてこれ以上話せないのも嫌だから、私から謝ろうと思ったとき。


先輩の体が覆い被さってきて、私を、


抱き締めたーーー!?


「あ、すみません」


正確には抱き締めたという表現は間違っていた。


前を見ずに歩いていた生徒が先輩にぶつかって、横を向いていた先輩はバランスを崩し。


咄嗟のことに隣にいた私ごと抱き留めた。


ヤンチャそうな一年生、グッジョブ。


「ごめん、大丈夫だった?」


先輩はパッとすぐに離れた。