先輩、私だけに赤く染まって


「なんで私が図書委員だって知ってるの?」


そんなこと言った覚えないのに。


「おばさんから聞いた」


…お母さんめ。余計なこと言うんだから。


図書委員なことが知られたって別に何も困ることないけどさ。


「で、何かあったの?」


最近やけに私の前に現れる。


ずっと話していなかったのに。


「穂乃果、彼氏出来た?」


高校に入ってから随分背が伸びたようで、ずっと私より顔が上にあるのに、


下から見つめられているような揺れる瞳。


何を考えているか、全く分からない。


「…出来ないけど」


そう言うと和樹は安心したような、複雑な笑顔を見せた。