先輩、私だけに赤く染まって


先輩にそんな気がないのは分かっていたけど、私は凄く嬉しかった。


校門の前で先輩と別れる。


さっきまで先輩と話していたからか、余計に一昨日の帰りの風景が思い出される。


ここではこんな話をしたな、って一人だけど隣に先輩がいる感じがして寂しくなかった。


二回目の先輩の素顔が見られたあの公園を通り過ぎて角を曲がると、


以前までは毎日目にしていた、見慣れたシルエットが家の前にあるのが分かった。


「何か用?」


塀にもたれて携帯を見ていた和樹が、私に気付き顔を上げる。


制服を着ているから、今日は部活が休みだったんだろうか。


「結構帰り遅いんだな。そんなに図書委員って大変なのか?」