「なんでですか?」
先輩はハーッと長いため息を吐いた。
「君といるとペース乱される」
そう言って前髪をかき上げた。
私にとってその言葉、嬉しい以外の何者でもないんですが。
「私はずっと先輩に会いたかったです。廊下とかで探してましたもん」
一瞬ギョロっとした顔でこちらを見たけど、すぐに背中を向けてしまった。
だけど私はバッチリ見た。あれは夕日が当たってるんじゃない。
背中を向けてたって耳まで赤いの、見えてますよ。
可愛いから言わないけど。
「…俺も、杉野さん探してた。図書室まで行った」
今度は私がギョッとする番だ。
何を思ったのかとんでもないカミングアウトをし出した。



