先輩、私だけに赤く染まって


なにこれ、夢…?


もしかして昨日の夢がまだ続いてる?


先輩がこんな甘いこと言うなんて。


だけどうるさいくらいに鳴る心臓も、熱いくらいに火照る顔も、つねると痛い頬も、これが現実だと伝えていた。


「なにしてるの、痛いでしょ」


先輩の手が私の手に触れて、頬から離させる。


ついに脳味噌が溶けてしまったんじゃないかってくらい、何も考えられない。



「先輩、私に会いたかったんですか?」


もっと見たい。先輩が崩れるところ、見せて。


先輩を前にすると、私が私でいられなくなる。


「だ、から。そういうこと言わない」


下から見る先輩の顔が少し赤い気がするけど、それが夕日の所為なのかは分からない。