…先輩が今どんな顔してるか、想像つくかも。
きっとあのときみたいに赤面して、手で口を押さえてる。
「杉野さん、まだ学校?」
次に声が聞こえたときには、いつもと変わらない声色だった。
「はい、教室です」
「ちょっと待ってて」
そう言って電話を切られた。
何が起きた?
よく分からないけど大人しく座って待つ。なんとなく、髪を整えながら。
先輩はすぐに私の教室に来た。
「なんで…先輩、」
何から聞いたらいいのか頭が働かなくて、それより驚きが勝っていた。
声が聞ければいいと思って掛けた電話が、先輩まで連れてきた。
「ん、なんか…声が聞きたいって言われたら、俺は会いたくなっちゃって」



