先輩、私だけに赤く染まって


すぐに折り返し電話が私の携帯に掛かって来た。


先輩が関わると私の心臓は壊れてしまいそうなくらい激しく音を立てる。


震える手で通話ボタンを押した。


「はい…」


発した声は思ったよりも掠れていた。


「杉野さん?どうして切ったの」


「すみません…」


「怒ってるんじゃないよ。何かあった?」


先輩の声はいつも通り優しくて、耳にダイレクトに入ってくる。


電話、ヤバイ…。神経が疼く。


「いや…、」


煮え切らない私に先輩は静かにその答えを待っていた。


えーい、もうどうにでもなれ!


「先輩の声が聞きたかっただけです!」


「…っ」


電話越しに、息を呑むのが聞こえた。