先輩、私だけに赤く染まって


放課後、涼子はもう部活に行ってしまった誰もいない教室で、私は何をするわけでもなく携帯を弄る。


…何となく、もう何週間も会ってない先輩の声が聞きたくて。


多分このとき理性は働いていなくて、欲望のままに発信ボタンに指が動いていた。


聞き慣れた発信音が熱に浮かされたみたいにボーッとする頭に入ってくる。


両手で握り締めた携帯をジッと見つめる。


十数秒が経って、着信音が途切れた。


画面の秒数が、動いて、る!?


その動く秒数に頭が一気に覚醒して、勢い余って電話を切ってしまった。


ヤバイ、やってしまった。だってまさか電話に出るなんて…。


声が聞きたくて電話を掛けたのはそうなんだけど…。