先輩、私だけに赤く染まって


それに相槌を打つ。


私たちはしばらくの間無言で花火を楽しんだ。


こういうの、無言で見ていたいタイプかずっと喋っていたいタイプかに分かれるけど、私と先輩は一緒みたいだ。


肩が触れるほど近くてドキドキが止まらないのにそれが何故か心地良かった。


「…杉野さん」


再び花火の流れが止まったタイミングで先輩が話しかける。


「最後まで狡い俺でごめん」


意味深な言い方に、背筋に冷たいものが走る。


あの話の続きなんだと察して、私は先輩の顔を見た。


外灯も少ないこの場所では、暗くて顔がよく見えない。それこそ花火が上がってくれれば見えるんだけど。


今から何を言おうとしてるの。夏休みが始まってから今まで、ずっと待っていた答えなのに、いざ言われると思うと怖くて堪らない。